朝晩の気温が少しずつ下がり始め、ようやく秋の気配を感じられるようになってきました。読書に没頭できそうな季節がやっとこさ到来でございます。本日は『食』をテーマにしたエッセイ小説のおすすめ本をご紹介します。

パスタぎらい ヤマザキマリ著

漫画テルマエロマエの作者でもあり現在もイタリアのパドヴァ市に在住のヤマザキマリさんの食文化エッセイ。
ヤマザキさんがイタリアに住み始めた頃節約して食されていたフィレンツェの”貧乏料理”やイタリアに住み始めてからより感じるようになった日本人の食への探究心の凄さ、イタリア人による突出した食へのこだわり、意外にも美食家といわれるイタリア人は食文化に対しては開かれた外交力は発揮できないなど。
ヤマザキさんがイタリアに住んでいて感じた日本とイタリアの食文化のちがいを実際のエピソードと共にリアルに綴られ、世界で食べた味覚の記憶が鮮明に描かれています。
読んだ感想
表紙からして黄色がインパクト抜群な1冊。文面も食の描写がとてもリアルで読者としても料理の様子が目に浮かんでくるようでした。時には口の中に涎があふれてくるような程食べてみたくなったり、これはちょっと想像したくない料理だなと感じたり。世界の料理旅に連れ出してもらっているような感覚と想像による味覚も楽しませてもらえる1冊でした。この国のこれを食べてみたい!という旅に出る楽しみも見つかるかもしれません。
ヤマザキさんのパワフルな文面から食への渇望がとまらない様子がひしひしと伝わってくる、おもしろい食文化エッセイでした。
東京すみっこごはん 成田名璃子著

商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる“共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!?美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説!
読んだ感想
何かしらの問題を抱える赤の他人同士が導かれるように集まり、食を通じて心通わせていく所に強い憧れのようなものを感じました。問題が全部解決するわけではないけれど、前を向くように背中を押してくれる存在がいる。それも家族や友人ではなく赤の他人からそれを教えてもらえるのが”すみっこごはん”。素晴らしい場所だなと思いまいた。
最後に明らかになる”すみっこごはん”の秘密には涙と共に人々の温かい交流が心にとても染み渡りました。シリーズで5巻まであるようなので是非読み進めて行きたいと思います。
気持ちがほっこりしたい時におすすめの1冊です。

おわりに
本日は【食】をテーマにしたおすすめのエッセイ、小説のご紹介でした。
元気がでる食エッセイとほっこりできる食の小説。少し涼しくなって読書も捗りそうな時期、気になるものがあれば是非手にとってみて下さい。秋の読書の参考になれば幸いです。
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